学生から寄せられた質問
学生から質問箱に次のような質問がありました。
成績評価に異議申し立てを行ったところ、「本来は答える義務はない、教員の時間を削っていることを考慮して」と言われた。(中略)こちらが学費を払って受講している以上質問する権利はあると思います。山本先生はどう思いますか。
簡単に答えられる質問ではなかったので、こちらで回答します。
授業とは何のために行うのか
実は、少なくない大学教員が授業における教員の役割を正しく理解できていないと思います。
私たち教員は、学生が授業でどれくらい学んだかを判定するために授業を行うのではありません。もちろん、どれくらい目標に到達できたか判定を行って、評定はつけます。しかし、それよりも重要なのは、授業で掲げている到達目標に全受講生を導くことです。そのために、教員は講義をしたり、課題を課したり、学生同士の学び合いの時間を設けたりと、さまざまな工夫を行っています。また、最終的に到達目標へと導くためには、学生の主体的な学びが欠かせないため、小テストなどを行って、適時にフィードバックも実施しています。
このように、授業というのは教員と学生が目標に向かって共に学ぶ場です。どちらか一方のやる気だけで成り立つものではありません。この考え方は、アクティブラーニング型授業の普及に伴って浸透しつつあるものの、それ以前の従来型授業とは異なるため、まだ授業観が転換できていない先生もいるのです。従来型授業の考え方というのを簡単に表すと、知識のある先生が、学生に知識を授けるというものです。一人が多数に知識を授ける場合、最も効率的なのは講義です。先生が話し、学生はノートを取るという授業スタイルが、従来型授業の典型です。
成績評価の根拠を尋ねられた場合、教員に答える義務はあるのか?
それでは、学生の質問中にあった、学生からの問合せに教員は答える義務はない、学生は学費を払っているので質問する権利がある、の部分について、私の意見を書きましょう。
まず、教員には答える義務があります。北大では、学生の異議申立期間を設定しており、申し立てられた教員は、しっかりと回答せねばなりません。おそらく、他大学でもそのような期間は設けられていると思います。
異議申立期間であれば、学生が異議を申し立てる権利はあります。学費を払っているかどうかは関係ありません。支払った授業料でどこまでの対価が得られるのか、ということは考えない方が良いでしょう。授業料だけで授業が成り立っているわけではありませんし、あまり意味のない議論になると思います。
授業を担当する以上、教員は責任を持って成績評価を行います。成績根拠資料はその学生が卒業するまでは保管しますし、学生に尋ねられれば答えなければなりません。
現実問題はどうか
成績評価の異議申し立ては、申し立てる学生も答える教員も、どちらも時間をかけることになります。成績の申し立てに関わらず、授業期間はさまざまな受講生からメールが届きます。私が担当しているような大人数授業だと、毎週のように来ます。たとえ授業中に説明したこと、Moodleに書いてあるようなことを聞かれても、返信はします。返信後、学生から承知した旨の連絡が来れば良いのですが、何もないとメールを読んだのか、こちらの説明が伝わったのか心配になります。人に何か尋ねたら、時間を使って回答して貰うことになるので、それに対するお礼と承知した旨の連絡はした方が良いでしょう。私はどうすれば問い合わせが減るか、すなわちどのように情報を掲示すれば全員に伝わりやすくなるかを考え、毎年工夫はしています。
教員は、成績の異議申し立てがこないように授業を行うのが良いでしょう。採点基準、評価基準等を明確にし、授業終了時に学生がどれくらい目標を達成できたか実感できるようにすることで、異議申し立ては減ると思います。
簡単ではありませんし、私もまだまだ至らない点は多いですけどね。大学の授業も、教員と学生がコミュニケーションを取りながら、楽しく学べる授業であるべきだと思います。
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